World
SSD耐久テスト
第14回 19nmのTLCは短命なのか (2013.8.9)
TLCは寿命的に不利と言われながらも、20nmのMLCを上回る結果を残せた840が、840EVOとして進化したようだ。予備領域を部分的にバッファとして活用し、書き込み速度を改善するなど、性能が高まっていることは歓迎したいが、気になるのはプロセスルールで、840の21nmに対して840EVOは19nmと、より微細化している。これはどの程度寿命に影響するのだろうか。


単純に考えれば寿命は短くなりそうだが、もしかすると意外な結果を出すかもしれない。使用するのはSamsung SSD 840 EVO Seriesの120GBだ(TLC)。

テスト結果
0.25TBに到達 (2013.8.13)

現在268回、合計29.3TB書き込めた。気になる書き込み速度は338.4GB/hと、840の170.8GB/hに対して2倍速くなっている。あとは速度が落ちることなく、最後まで書き込めるかどうかが気になる。


意外なのは耐久力で、ウェアレベリング回数(B1、上から4番目)の現在値が80、生の値が241になっていることだ。同じ時点で840は現在値が69、生の値が305だったので、ウェアレベリングの効率が上がっていることになる。

これはTLCとして書き込む前に、バッファ内でデータを整列させることで、無駄な書き込みを減らしているのだろうか。どういう仕組みなのかはわからないが、これで寿命が延びるなら悪くない。
0.5TBに到達 (2013.8.17)

現在536回、合計58.6TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)が80から60に減って、生の値が241から483に増えた。
0.75TBに到達 (2013.8.21)

現在781回、合計85.2TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)が60から41に減って、生の値が483から711に増えた。
1TBに到達 (2013.8.25)

現在1054回、合計115.1TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)が41から20に減って、生の値が711から958に増えた。
ウェアレベリング回数が1 (2013.8.29)

現在1325回、合計144.6TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)が20から1に減って、生の値が958から1203に増えた。840は生の値が1000で1になっていたが、寿命が想定以上だったのか1200に増えている。あとは実際に壊れ始まるのを待つだけだ。
1.5TBに到達 (2013.9.2)

現在1545回、合計168.7TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が1203から1414に増えた。
2TBに到達 (2013.9.10)

現在2090回、合計228.2TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が1414から1909に増えた。
2.5TBに到達 (2013.9.17)

現在2578回、合計281.4TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が1909から2351に増えた。
3TBに到達 (2013.9.25)

現在3080回、合計336.2TB書き込めた。840は2929回で壊れ始まったが、こちらは3000回を超えても元気いっぱいだ。まだ余裕があるのだろうか。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が2351から2826に増えた。ウェアレベリングの効率の良さを考えると、4000回前後まで書き込めるかもしれない。
3.5TBに到達 (2013.10.3)

現在3593回、合計392.3TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が2826から3296に増えた。
4TBに到達 (2013.10.11)

現在4114回、合計449.1TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が3296から3776に増えた。
壊れ始まった (2013.10.13)

現在4251回、合計464.1TB書き込めた。


代替処理済のセクタ数(05、1番上)が100から99に減った。使用済予備ブロック数(B3、中央少し上)とランタイム不良ブロック(B7、中央少し下)も、同様に100から99に減っている。
4.5TBに到達 (2013.10.18)

現在4617回、合計504.1TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が3776から4236に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、生の値が1から3に増えた。
5TBに到達 (2013.10.26)

現在5127回、合計559.8TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が4236から4698に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、生の値が3から4に増えた。
5.5TBに到達 (2013.11.2)

現在5640回、合計615.7TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が4698から5162に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が99から98に減って、生の値が4から22に増えた。
6TBに到達 (2013.11.10)

現在6145回、合計670.8TB書き込めた。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が5162から5624に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が98から96に減って、生の値が22から68に増えた。
訂正不可能エラー数 (2013.11.13)

現在6369回、合計695.3TB書き込めた。


訂正不可能エラー数(BB、中央少し下)の現在値が100から99に、ECCエラーレート(C3、下から4番目)の現在値が200から199に減った。あと1〜2週間で壊れるだろうか。

ウェアレベリング回数(B1)の生の値が5624から5827に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が96から94に減って、生の値が68から128に増えた。
SSDが壊れた (2013.11.16)

朝になったらファンが停止していたので、気温が低いせいかなと思ったら壊れていた。840が壊れたときは、957MBのSSDという情報だけがリードオンリーになったが、今回は電源が入らないのでBIOSで認識できない。接続したままPuppy Linuxを起動させても、存在すら検出されなかった。そういうわけで昨日の夜の結果になってしまうが、記録は6502回の合計709.8TBだ。


ウェアレベリング回数(B1)の生の値が5827から5948に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が94から88に減って、生の値が128から237に増えた。

840と違うのは、訂正不可能エラー数が出てから劣化が早いことだ。書き込みを止めてバッファを綺麗にしようとすると、3〜5秒ぐらいSSDがロックされたあとに、代替処理済のセクタ数(05)の生の値が、簡単に2つぐらい増えてしまった。USBメモリを接続したときも、同じようにSSDからの応答が遅れたので、もう限界が近かったのだろう。


書き込み速度の落ち方が気になった840だが、この辺も改良されているようだ。途中までは似たような感じながらも、それ以降は速度を維持できている。バッファからTLCへの書き出しが低下しても、バッファへの書き込みは速いままなので、最後まで快適さは変わらない。


TLCで19nmという、不安に不安を重ねるような悪条件でありながら、840を大きく上回る結果を残せたのは見事だ。予備領域に作られた書き込みバッファを、SLCのように扱うことで、TLCへの無駄な書き込みを減らすことに成功したのか、寿命が約2倍に増えている。これはどう見ても、MLCの領域に入り込めたと言えるだろう。

この技術を活用すれば、微細化されても寿命の心配はなくなるかもしれない。
Home