SSDの寿命が気がかりでEWFに頼っていた2008年。いろいろと耐久テストをした結果、普通に使っても問題ないことがわかったが、TLCはどうなのだろうか。1000回で壊れるとか言われると急に不安になる。予備領域を多めに確保しているのと、64GBのような低容量モデルが存在しないのが、その不安を256%に増幅させる。本当に大丈夫なのだろうか。
そういうわけで実際に壊して確かめてみよう。使用するのはSamsung SSD 840 Seriesの120GBだ(TLC)。
テスト結果
現在263回、合計28.7TB書き込めた。本当は1TBまで我慢するつもりだったが、初期のMLCが推定寿命の70%程度だったので、もしかしてTLCも同じかなと思い、早めに更新することにした。
既に28.7TB書き込んでいるはずだが、右上の総書込量が2TBで止まってしまった。同様に総書き込み量(F1、1番下)も、生の値が4TBから動かなくなった。ウェアレベリング回数(B1、上から4番目)のほうは、問題なく更新されているが、この時点で現在値が100から69に減っている。生の値が305なので、1000回で現在値が0になる計算だ。
それにしても電源投入回数が1回というのが、初期不良率の低さに自身があるのか、間に合わないからテストしないで出荷したのか、予備領域が大きいから多少の不良は気にしないのか、理由はわからないが新鮮なSSDだ。
現在526回、合計57.4TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)が69から38に減って、生の値が305から621に増えた。
現在773回、合計84.4TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)が38から3に減って、生の値が621から970に増えた。
現在1039回、合計113.4TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が970から1302に増えた。とりあえず目標の1000回は達成したが、今のところ壊れそうな気配はない。
現在1552回、合計169.4TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が1302から1968に増えた。
現在2075回、合計226.5TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が1968から2700に増えた。
現在2564回、合計279.9TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が2700から3390に増えた。
現在2929回、合計319.8TB書き込めた。
代替処理済のセクタ数(05、1番上)が100から99に減った。使用済予備ブロック数(B3、中央少し上)とランタイム不良ブロック(B7、中央少し下)も、同様に100から99に減っている。
現在3081回、合計336.3TB書き込めた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が3390から4120に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、生の値が1から7に増えた。
現在3257回、合計355.6TB書き込めた。
訂正不可能エラー数(BB、中央少し下)の現在値が100から99に減った。ECCエラーレート(C3、下から4番目)の現在値は変わらないが、両者の生の値が0から1873に増えた。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が4120から4471に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が99から98に減って、生の値が7から56に増えた。
思ったよりも早くエラーが出てしまった。もう少し書き込めると思っていたのに、MLCと違って壊れ始めると早いのだろうか。記録は3296回の合計359.8TBだ。
……ということで、いつものようにスクリーンショットを保存しようとしたら、なぜか突然Paintgraphic2が終了してしまった。何かの間違いかと思い、再び保存しようとしたが失敗。保存先はSSDではなくてUSBメモリである。Win7標準のペイントだけは正常だったので、今回はこれを使って保存した。
ウェアレベリング回数(B1)の生の値が4471から4600に増えた。代替処理済のセクタ数(05)、使用済予備ブロック数(B3)、ランタイム不良ブロック(B7)の、現在値が98から96に減って、生の値が56から120に増えた。 訂正不可能エラー数(BB)とECCエラーレート(C3)の、生の値が1873から2439に増えた。
こうして見ると、まだ予備領域は残っていると思われる。まだOSが動いているのだから、少なくとも書き込みはできるはずだ。確認のため複数のソフトを動かしてみたが、昨日まで動いていたSamsung SSD Magicianや、FireFoxやWordはエラーで起動失敗するのに、CrystalDiskMarkは何事もなく書き込みもできたので、SSDが部分的に破損したのだろうか。
念のためWin7を再起動させてみたが、問題が出るソフトに変わりはなかった。テストデータを削除して、再びSSD耐久テストを起動してみたところ、こちらも問題なく普通に動き出した。
まだ書き込めるのにファイルが破損したということは、予備領域を消耗するときに、何らかの不具合でもあったのだろうか。それとも別な原因だろうか……と考えていたら、突然No bootable deviceになってしまった。仕方ないのでUSBドライブにして、続きは他のPCで調べることにしよう。
もしかして840は、使い終わったらコンパクトに収納できるタイプなんだろうか。120GBのを買ったはずなのに、壊れたら960MBまで縮んでしまった。冗談を言っている場合ではない。何度やってもドライブの割り当てに失敗するので、エクスプローラーで中を調べることができないのだ。これは困った。
CrystalDiskInfoで見てみると、SamsungのSSDだという認識はあるようだが、項目は空欄になっている。東芝のSSDNより酷い状態のようで、これでは何もわからないではないか。本当に困った。
困ったときのPuppy Linuxということで、久しぶりに起動してみたが、マウントできないどころかSSDの存在すら感知できないようだ。ただ何らかの異常なデバイスという認識はあるようで、SSDを接続したままPuppy Linuxを起動させると、CUIの段階でエラーが出てロックアップしてしまう。もう何もできなくなった。
これが840のリードオンリーなのだろうか。それともリードオンリーへの切り替えが失敗して、故障してしまったのだろうか。
これは使用済予備ブロック数に変化があったとき、その数値だけ記録しておいたもの。最初の頃は緩やかだったので、同じような感じで増え続けるのかと思ったら、No bootable deviceの直前あたりは、かなり急激に増えている。最後の記録は、使用済予備ブロック数(B3)の現在値が85で、生の値が442だった。
毎日20GB書き込んでも3年は保証すると言っていたが、確かに3年ぐらいは使えそうだ。比較対象のプロセスルールが違い過ぎるので、今のところは参考程度にしかならないが、v4や335などの結果が出てくれば、840の寿命が長いのか短いのか答えが出るだろう。
このグラフや
寿命一覧表の年数が短くなってるのは、単純に15で割っているからである。最初の頃はテスト結果をそのまま採用していたが、メーカーが保証している年数は、好ましくない状況下での負荷を考慮しているようなので、同様にSSD耐久テストでの最悪値を求めて再計算してある。
4KB未満の書き込み量の平均値=274.07バイト
(1TBの書き込みをして約40億1179万ファイル)
書き込み1に対してSSD内での負荷=15
(4096÷274.07=14.945)
1日の書き込み量20GBでの寿命=3年4ヶ月
(368509÷20÷365÷15=3.365)
つまり平均274バイトの書き込みを繰り返すような、最悪な状況で使い続けたとしても、これぐらいの年数は耐えられるだろうという最悪値である。実際はここまで酷くはならないので、数倍は書き込めると思われる。
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想定していた1000回よりは多く書き込めたので、普通に使えるだけの耐久力はありそうだが、この壊れ方は好ましくないと思われる。
初めてのTLCということで、今後の改良に期待しよう。